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入賞作品発表

当社天体写真コンテストの第5回目となる「サイトロンジャパン天体写真コンテスト2025」を開催いたしました。今回も300点を超える応募がありました。本コンテストにご応募を賜りました皆様に、心より感謝申し上げます。
厳正な審査を経て決定した各賞をここに発表いたします。

総評

沼澤 茂美
(天体写真家、イラストレーター)

今年もたくさんのご応募ありがとうございました。今年の作品の第一印象は、星空風景写真の応募が増えたことと、DeepSky天体のレベルがさらに上がったことでしょうか。DeepSkyは、いったいこれは何処を撮ったものなのだろうかと悩むような、今まで見たこともない領域、あるいはより深遠な世界を美しく表現したものが目を引きました。星空風景は過度な合成写真がさらに数を増し、シングルショットの叙情豊かなナチュラルな作品に共感が集まったという印象です。

渡邉 晃
(株式会社サイトロンジャパン 代表取締役)

本コンテストも今年で5回目となり、たくさんの応募をいただきました。深くお礼申し上げます。回を重ねるごとに作品のレベルも上がり、今回も審査員3人の意見の集約には長い時間を要しました。入選された皆さま、おめでとうございます。また、惜しくも選に漏れた作品にも、非常に魅力的なものが少なくありませんでした。ぜひ来年以降に再挑戦ください。このコンテストが天体写真のすばらしさ、楽しさを広げる一助となれば幸いです。

渡邉 耕平
(株式会社サイトロンジャパン)

今年もたくさんの応募をいただき誠にありがとうございました。今年のキーワードもやはり、去年に引き続いて「AI」と「リモート撮影」だった と思います。AIを用いたツールは当たり前に使用されるようになり、リモート天文台で撮影された、日本では見ることができない被写体の応募も多数あり、写真のクオリティや被写体選定だけでは優劣がつきにくい状況になっていると思います。その中でも工夫をこらし、努力を重ね、運にも恵まれた作品が持つ凄みのようなものが、選出の決め手になったものが多かったと思います。


受賞作品一覧

大賞

Grand Prize


ほ座超新星残骸核心部

武馬 孝至


南天でメジャーなほ座超新星残骸の核心部を6枚モザイクで撮影しました。とくにこだわったのは、写野全体に淡く広がるOⅢ領域を繊細に表現するため、ブロードバンド+デュアルナローバンドのデータをスクリーン合成・後処理を試行錯誤し、イメージどおり再現できたのではと考えています。(武馬 孝至)

【評:沼澤茂美】
私のもっとも好きな南天の領域の1つ、ほ座の超新星残骸のフィラメント構造と付近の散光星雲が入り交じった領域ですが、武馬さんの作品は、一見してここはどこなのだろうと戸惑うほど、今までの見慣れた光景とはまったく異なる造形美を見せてくれています。圧倒的なディティール、飽和しているような赤色領域も、拡大するとその構造が現われてきます。構図も絶妙なアスペクト比でまとめており、大きなパネルにして壁面に展示しておきたい絵画的な風格さえ醸し出しているようです。

【撮影データ】2023年12月30日22時38分(フィルターなし),2025年2月16日1時47分(フィルターあり) ウィリアムオプティクスREDCAT61(D61mm f 300 mm F4.9) ZWO AM5 赤道儀 D30mm f120mmガイド鏡+ASI120MMmini+PHD2による自動ガイド オプトロンL-eXtremeフィルター ZWO ASI2600MCPro冷却カラーCMOSカメラ 露出:5分×1015コマ 6枚モザイク(フィルターなし),5分×1071コマ 6枚モザイク(フィルターあり)PixInsightほかで画像処理 撮影地:チリ・ウルタド渓谷

天体写真部門賞

Astrophotography Prize


創造の柱

松田 裕之


風が強く露出時間が稼げなかったため、数日間に分けての撮影となりました。初日の撮影のあと、ナローバンド撮影では星がピンク色になってしまうことに気付き、後日RGBで星だけ別撮影し画像処理を行ないました。画像処理は得意ではないのですが、何とか満足できる描写をすることができました。(松田 裕之)

【評:渡邉耕平】
松田さんの作品は、モノクロカメラと複数のフィルターを使い撮影された力作です.緻密で繊細なディテール、奥行きを感じる色使いによって、天体の美しさだけでなく、宇宙の神秘や、畏怖の念など,見る角度によってさまざまな感情を引き立てられ、思わず息を呑みます。創造の柱のようなよく知られた天体は、天体写真コンテストにおいても人気の被写体です。そのため、入選のハードルは高いといわざるを得ませんが、この作品にはそのハードルを超える魅力がありました。

【撮影データ】2025年7月21日0時41分(ほか) セレストロンEdgeHD800(D208mm f2000mm F10) ZWO AM5赤道儀 ZWO OAG Off-Axis Guider + ASI220MMmini+ASI air plusで自動ガイド オプトロンSHO 3nmフィルター オプトロンLRGBフィルター ZWO ASI2600MM PRO冷却モノクロCMOSカメラ 露出:Hα(5分×36枚3時間) SⅡ(5分×36コマ=3時間) OⅢ(5分×35コマ=2時間55分) RGB各1分 ×10コマ PixInsightほかで画像処理 撮影地:広島県北広島町八幡原

星空風景写真部門賞

Starry sky landscape photography Prize


天上の景色

横江 憲一


標高2077mの十勝岳山頂まで、装備を背負って霧の中4時間かけて登りました。山頂では全雲海ですばらしい星空でした。雲海が徐々に消えゆく中、星空と山の雲と雲で覆われた街灯が美しいと感じた瞬間を撮影しました。この感動を思い浮かべ自分の思う作品にするのに3年要しました。(横江 憲一)

【評:渡邉晃】
かつて写真は「光画」とよばれていました。即ち、光により描かれた画像。この言葉は写真の本質を表現していると思います。星空風景撮影では、暗闇の中のわずかな光をとらえるわけですが、それ故、昼間の撮影以上に光には敏感になりたいものです。本作品は夏の十勝岳での撮影とのこと。足元には夏にも関わらず残雪が浮かび、眼下には街の明かりが赤く拡散され、空には天の川が立ち上がります。暗闇の中からそれぞれ異なる光をとらえ、魅力的な光景を繊細に描写した秀作です。

【撮影データ】2022年7月8日0時41分 ニコン14-28mm F2.8(絞り開放)Leeソフト#1フィルター 固定撮影 ニコンZ8(ISO6400)露出30 秒 SILKYPIXPRO11ほかで画像処理 撮影地:北海道美瑛町十勝岳山頂

沼澤茂美賞

Sigemi Numazawa Prize


暁天の紫金山・アトラス彗星

福本タダシ

【評:沼澤茂美】
昨年の10月2日、明け方の紫金山・アトラス彗星を叙情豊かに写し撮った福本さんの作品です。近日点を通過し、北半球で見え始めた10月冒頭の明け方、次第に明るくなる暁の空に姿を現わした彗星!あのときの感動が蘇ってきます。多くの人が、ランドマーク的な風景と彗星のコラボレーションを意図する中で、非常に洗練されたというべきシンプルな添景と彗星の組み合わせが、心を落ち着かせる日本画的な雰囲気を生み出したといえます。ややノイジーな画質を上回る作品性に共鳴しました。

【撮影データ】2024年10月2日4時50分 サムヤン135mm F2.8 ペンタックスK-1(ISO1600) 露出10秒 photoscapeX ほかで画像処理 撮影地:奈良県御杖村

サイトロンジャパン賞

Sightron Japan Prize


紅の海に浮かぶ蒼き泡

坂田 正


【評:渡邉晃】
多くの優れた応募作品の中でも、新たな世界を見せてくれる作品に惹かれました。それは見慣れた対象を新しい表現で見せたり、あるいは今まで知らなかった領域を鮮やかに写し出したり、新鮮な驚きをもたらしてくれる作品に惹かれるということです。本作品はHαの「紅の海」に浮かぶOⅢの「青い泡」を繊細にとらえています。写真鏡ならではの周辺までシャープな星像、フィルターワークや画像処理の技術を駆使し、今まで見たことのない美しく新鮮な光景を見せてくれました。

【撮影データ】2025年8月14日21時00分(ほか) Asker FRA600(D108mm f600mm F5.6) ZWO AM5赤道儀 AskerFMA180mm(D40mm f180mm)ガイド鏡+ASI120MM+ASIAirで自動ガイド AskerColorMagicD1フィルター ZWO ASI6200MCPro冷却CMOSカメラ 露出:5分×65コマ(フィルターなし) 5分×185コマ(フィルターあり) PixInsight,StarXTerminaterほかで画像処理 撮影地:沖縄県宮古島

U29賞

Under29 Prize


万年前の超新星残 SNR-G156.2+5.7

劉 蘇鵬



群れ星

石田 悠真


「万年前の超新星残 SNR-G156.2+5.7」劉 蘇鵬

【評:渡邉耕平】
20.3cmF4ニュートン式反射望遠鏡に、F3.4のコレクターレデューサをつけ、のべ8日間かけて撮影された力作です。テスト撮影では影も写らないような淡い対象を、フルサイズのモノクロCMOSカメラと複数のフィルターを使い分けて見事に仕上げてあります。星間ガスのわずかな濃淡や表情の差、超新星残骸のフィラメント構造のディテールなど、1枚の写真の中にも複数の質感が存在し、思わず拡大して細部まで見入ってしまう魅力的な一枚です。若手の天体写真家として、劉さんにはこれからも第一線で活躍してほしいと思います。

【撮影データ】2024年11月8日20時ほか7夜 TSオプティクス203mm f/3.4 Hypergraph(D203mm f690 F4) シャープスター3インチ0.85X MPCCコマコレクター iOptron CEM70赤道儀 QHYCCD-OAGLガイド鏡+QHYCCD200M+PHD2で自動ガイド QHYCCD-600Mモノクロ冷却CCDカメラ アントリア LRGB V-Proフィルター, アントリア4.5nm EDGE Hα,OⅢフィルター 露出:LRGB(各2時間=各5分×24コマ) Hα(18時間=5分×216コマ) OⅢ(6時間=5分×72コマ)PixInsightほかで画像処理 撮影地:福島県鹿野角平 

「群れ星」石田 悠真

【評:沼澤茂美】
この石田さんの作品は、 審査員全員が好感を抱いた写真です。夏合宿でしょうか? 臨場感とともに、この状況のストーリーやバックグラウンドを思い描いてしまう…選者にとってはノスタルジーを誘うような魅力に満ちあふれた、琴線に触れる要素があったんだと思います。夜半過ぎ、夜空に輝くすばるとヒアデスとの共演が見事な主題を構築しています。カメラ目線が良かったか、星を見上げているこの雰囲気が良かったか、私としてはその辺も興味が湧きました。

【撮影データ】2025年8月22日0時21分~ シグマ18-300mm F3.5-6.3 DC MACRO OS HSM(20mm F3.5で使用) ケンコープロソフトンクリア(W)  キヤノンEOS7D MkⅡ(ISO4000)  露 出20秒 Photoshopほかで画像処理 撮影地:東京都八丈町

カレンダー賞

「群れ星」
石田 悠真

「ほ座超新星残骸核心部」
武馬 孝至

「冬の海岸線」
小泉 友紀暁

「M42周辺」
古市 貴也

「宙に咲く」
齋藤 正敏

「ケフェウス座『vdB152星雲』」
清末 友洋

「創造の柱」
松田 裕之

「万年前の超新星残骸 SNR-G156.2+5.7」
劉 蘇鵬

「紅の海に浮かぶ蒼き泡」
坂田 正

「天上の景色」
横江 憲一

「NGC891」
岩片 かおり

「暁天の紫金山・アトラス彗星」
福本 タダシ

「すばるとハゲワシの頭 M45&LBN777」
大島 良明

※ 敬称略

上位入賞作品は「月刊天文ガイド」(誠文堂新光社刊2025年11月5日発売号)に掲載となります。
また、カメラと映像のワールドプレミアショー「CP+2026」のサイトロンジャパンブースにて展示予定です。

■CP+2026(会場イベント)
開催日:2026年2月26日(木)~3月1日(日)
開催場所:パシフィコ横浜 展示ホール

■ソニーストア 銀座で受賞作品展の開催が決定
2025年・2024年の上位入賞作品の作品展を開催します。
 開催日:2025年11月16日から11月23日
 開催場所:ソニーストア 銀座
※11月16日には、月刊「星ナビ」編集部によるトークショーも同時開催します。ぜひお越しください。
詳細はこちら ≫

サイトロンジャパン天体写真コンテスト2025

主催:株式会社サイトロンジャパン
協力:月刊天文ガイド

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