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入賞作品発表

当社天体写真コンテストの第6回目となる「サイトロンジャパン天体写真コンテスト2026」を開催いたしました。今回も220点を超える応募がありました。本コンテストにご応募を賜りました皆様に、心より感謝申し上げます。
厳正な審査を経て決定した各賞をここに発表いたします。

総評

沼澤 茂美
(天体写真家、イラストレーター)

今年もたくさんのご応募ありがとうございました。Deep Sky天体に関しては技術的に非常に高度なレベルの写真が多いと感じるのですが、その反面、彩度が非常に低かったり、色相に違和感を感じたりといった初歩的なミス、詰めの甘さが散見されたというのが強く印象に残りました。星空風景写真に関しては合成写真が大幅に減少し、作者が星空に対峙する情景が伝わってくる作品が多く、審査する側としてはとても心地よい時間を共有できました。

渡邉 晃
(株式会社サイトロンジャパン 代表取締役)

今回も素晴らしい作品が多く、審査員の票も割れてとても難しい審査でした。4時間に及ぶ激論の末にようやく入選作を決定しました。 また、今回から新たに10作品を入選として選出しています。CP+の際に一枚でも多くの作品を展示し、皆様にご覧いただきたいとの思いです。大きく引き伸ばしたプリントで見る天体写真は、PCモニタで見るのとは違う格別な趣があると思います。2027年2月の展示も楽しみにお待ちください。

渡邉 耕平
(株式会社サイトロンジャパン)

2026年は春から夏にかけて毎週末のように曇りや雨が続き、私を含め、星空愛好者にとってはとても厳しい年となりました。正直なところ、今年のコンテストは応募数が激減するのではないかと心配していました。しかし、蓋を開けてみれば220点を超える作品の数々。今年も審査員一同、大いに悩み、吟味を重ねて各賞を決定しました。ご応募いただいた皆様に、改めて感謝申し上げます。誠にありがとうございました。


受賞作品一覧

大賞

Grand Prize


紅蓮の海に浮かぶ蒼玉

清末 友洋


はくちょう座のvdB134と惑星状星雲PN 86+05.1。赤と青の星雲が複雑に入り交じる領域をブロードバンドとナローバンドの長時間露光で切り取りました。両画像の合成加減で印象が大きく変わるため、魅力が伝わる混ぜ具合を何度も試行錯誤しました。(清末 友洋)

【評:沼澤茂美】
今年から審査を悩まされる要素としてAIの扱いが挙げられます。同時に星と星雲を分離して処理するという技術が一般化し、審査の基準は、驚異的な描写やディティール重視からより自然な作品、言い換えれば 「より違和感のない作品」に移行したと言えるでしょう。大賞の選定は、多くの時間が費やされました。その中で、全員の共感を得たのが清末さんの作品です。主題が明確に表現され、美しく、恒星と星雲との描写の乖離があまり感じられなかったことが決定打となりました。撮影に7日間を費やされた労作です。

【撮影データ】2026年8月10日ほか6夜 タカハシε-130D×2本(D130mm f430mm F3.3) 直焦点撮影 Chroma 5nmナローバンドフィルター、アストロドンTruBalance Lフィルター Sky-Watcher EQ6R赤道儀 D30mm f130mmガイド鏡+ZWO ASI120MM-Mini+PHD2+APTディザリングで自動ガイド ① ZWO ASI294MM Pro 、②ZWO ASI2600MC Pro 露出①L(5分×134コマ) Hα(10分×55コマ) OⅢ(10分×68コマ) ②ノーフィルター(5分×266コマ) PixInsight Photoshop BlurXTerminatorほかで画像処理 撮影地:和歌山県西牟婁郡 紀伊アストロスタジオ

天体写真部門賞

Astrophotography Prize


いいとこドリップ

中田 正義


初めての海外遠征で訪れたオーストラリア。北半球では味わえない、天頂で拝む天の川のいいところを一網打尽にしました。コーヒー文化の根強い現地で、美味しいコーヒーを啜りながら撮影していたことから、現像もコーヒーも抽出が命ということで、このタイトルにしました。(中田 正義)

【評:渡邉耕平】
天の川のハイライトを大胆に切り取った見事な作品です。星々の輝きの中に点在する散光星雲、星団、暗黒星雲たちも、微光星に埋もれることなく表現されており、拡大してみるたびに新しい発見があります。広すぎず狭すぎない、標準域に近い28mmの広角レンズを選んだことも、この写真にぐっと惹きつけられる理由かもしれません。広角の星空風景写真と望遠の天体写真、両方の良いところを凝縮した「いいとこ撮り」な一枚に、天体写真部門賞を贈ります。

【撮影データ】2026年4月15日21時~ シグマ28-45mm F1.8 DG DN(28mm F4.5で使用) ZWO AM3赤道儀 ウィリアムオプティクスUniGuide 32mm+ZWO ASI220MM-Miniで自動ガイド ソニーα7Ⅲ(HKIR改造) ISO1600 露出300秒×22コマ(総露出110分) PixInsight 、Photoshopで画像処理 撮影地:オーストラリア・ブロークンヒル

星空風景写真部門賞

Starry sky landscape photography Prize


帰り道、空を見た

仁茂田 祐基


私は子供のころから星空を見るのが好きでした。現在は地元の千葉県長南町を中心に「あたりまえの景色をちょっと素敵に」をコンセプトに撮影しています。工夫した点は「電線と天の川と道路」のバランスです。何気ない景色だけど、感動できる。そんな思いを写真に込めました。(仁茂田 祐基)

【評:渡邉晃】
幼い頃、夏休みの帰り道。ふと見上げると頭上には天の川が…そんな郷愁を誘う風景を捉えた一枚です。真っ直ぐに伸びる道の先には街灯の光が輝き、画面に奥行きを与えています。ダイナミックに構成された夜空の電線は,静的になりがちな星景写真に動的な印象を与えています。さり気なく撮影されたようで、構図的に非常に計算された作品だと思います。派手で目を引く応募作品も少なからずあった中で、何気ない日常の光景を捉えた地味ながらも心に残る作品でした。

【撮影データ】2025年6月23日0時17分~ TTArtisan 21mm F1.5 ASPH ルミッ クスDC-S5 ISO4000 露出15秒 Lightroomで画像処理 撮影地:千葉県長生郡長南町 

沼澤茂美賞

Sigemi Numazawa Prize


紅の彼方へ

鵜飼 康弘

【評:沼澤茂美】
私は「星空風景写真はロジックではない」とかねてから述べてきました。構図や色彩や主題、撮影テクニックを超越した臨場感や作者の感動みたいなものが、本作品からは伝わってきたのです。紅色の珊瑚草を私は体験したことがないのですが、母校の大きな壁画に珊瑚草の平原が描かれていたという記憶が残っています。大型モニターに映し出した時に感じたものは、心震わせる感動や撮影欲求というよりは、内面にしみ入る安堵感や共感のようなものだったことを添えたいと思います。

【撮影データ】2025年9月15日22時36分~ シグマ20mm F1.4 DG DN ソニーα7CⅡ ISO4000 露出10秒 Photoshopで画像処理 撮影地:北海道網走市卯原内

サイトロンジャパン賞

Sightron Japan Prize


ハート星雲(IC1805)中心部

大島 良明


【評:渡邉耕平】
扱いの難しいリッチー・クレチアン鏡筒で、延べ15時間以上かけて丁寧に撮影された画像は、とても階調豊かです。じっくり眺めていると、立体写真のように星雲の奥行きを感じることができます。中心に散開星団Melotte15を抱くこの領域は、特にナローバンドで複雑な色合いが表れることから人気の対象ですが、その中でも群を抜いていると思います。恒星は別撮りのRGBに差し替えてあり、自然に見えるよう工夫されている点も評価のポイントでした。

【撮影データ】2025年11月20日18時46分 ~ Astro-Tech 10" f/8 Ritchey-Chretien Carbon Fiber Optical Tube(D250mm f2000mm F8)  直焦点撮影  SHARPSTAR 2.5" 0.8×レデューサー(合成f1600mm 合成F6.4) オプトロンLRGBフィルター Sky-Watcher AZ-EQ6GT赤道儀 SHARPSTAR 60ED(D60mm f330mm)+ZWO ASI178MM+PHD2 Dither ZWO ASI2600MM Pro 露出(R30秒×25コマ) (G30秒×25コマ) (B30秒×25コマ) SⅡ(300秒×65コマ) Hα(300秒×63コマ) OⅢ(300秒×62コマ) PixInsight 、Photoshop CS6ほかで画像処理 撮影地:静岡県富士宮市朝霧

U29賞

Under29 Prize


紅き海、深淵の煌めき

谷 嵩志


【評:渡邉晃】
20cm F3.2のニュートン鏡で捉えた北アメリカ星雲です。まずタイトルが素晴らしい。散光星雲の輝きを「紅き海」に例える感性に脱帽です。一方、作品の主題は「北アメリカ星雲周辺の暗黒星雲のうねり、周辺の星々の美しさ」にありました。赤い星雲に目が行きがちですが、このコメントを読むと全く違った作品に見えてきます。「星の色にはこだわりました」というとおり、深淵に煌めくカラフルな美しい星々。スパイダーによる光条も相まって華やかな秀作です。

【撮影データ】2021年8月5日0時38分 ~ SHARPSTAR 20032 PNT(D200mm f760mm F3.8)  直焦点撮影  0.85×レデューサー(合成f640mm 合成F3.2) バ ーダーLRGBフィルター ケンコーEQ6PRO 赤道儀 ZWO ASI120MM Mini+ASIAIR PRO オフアキシスガイド ZWO ASI6200MM PRO 露出L(5分×8コマ) R(5分×4コマ)、G(5分×4コマ) B(5分×5 コマ) PixInsight 、Lightroomで画像処理 撮影地:静岡県稲取細野高原

入賞

「Sh2-1(さそりの散光星雲・反射星雲)」
林 知史

「バラ星雲」
川崎 康正

「M8付近」
奥土居 健

「M20」
武馬 孝至

「ライオン星雲 ― 紅と蒼の宇宙」
上杉 雅樹

「NGC 7129」
渡邊 尚登

「湖畔のオーロラ」
荒井 慎吾

「北アルプスとC/2025 A6 レモン彗星」
吉澤 徹夫

「クリスマスツリー星団とコーン星雲(NGC2264)」
佐藤 眞一郎

「蒼光(そうこう)と紅霧(こうむ)の邂逅」
松田 裕之

※ 敬称略

上位入賞作品は「月刊天文ガイド」(誠文堂新光社刊2026年11月5日発売号)に掲載となります。
また、発表した16作品は、カメラと映像のワールドプレミアショー「CP+2027」のサイトロンジャパンブースにて展示する予定です。

■CP+2027(会場イベント)
開催日:2027年2月25日(木)~2月28日(日)
開催場所:パシフィコ横浜 展示ホール

サイトロンジャパン天体写真コンテスト2026
主催:株式会社サイトロンジャパン
協力:月刊天文ガイド

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